丸暗記が続かないINTPが、AIで「理解してから覚える」勉強システムを作った ― 教材OCR→AIカード化→間隔反復+AI検証→音声・紙まで

正直、ずっと引っかかってることがあって。勉強したいのに、続かないんですよね。もう少し正確に言うと、暗記が続かない。意味のわからないものを、とにかく覚えろ、っていうのがどうしても無理で。なんでそうなるのか、構造が見えないと、頭に入れる気が起きない。たぶん昔からの性質で、ここ自体は変わらないんだろうな、と。

で、世の暗記アプリって、だいたいそこを無視してるんです。理屈はいいから反復しろ、と。だから自分は続かなかった。

今回やったのは、この「理解してからじゃないと覚えられない」っていう面倒な性質を、AIで逆に使えないか、という話です。理解の部分をAIに手伝わせて、定着の部分を仕組みで自動で回す。それをどう繋いだか——最初の失敗から、まだ解決できてない所まで、全部出していきます。

ひとつだけ先に。今回ずっと戦ってる相手は、「意味がわからないまま、とにかく覚えること」=丸暗記です。これから出てくる仕組みは、全部この一点を倒すための攻め手だと思って読んでください。

1. 最初にやって、詰まったこと

最初の作戦は「Ankiに全部任せよう」でした。Ankiは間隔反復(Spaced Repetition)のアプリで、どのカードをいつ出すかをアルゴリズムが自動で決めてくれる。これ自体はほぼ完璧なんです。

でも、よく考えたらAnkiは「理解したか」は一切見てない。とにかく反復しろ、と。つまり、敵のホームグラウンドで戦ってるようなもので、間隔をあけて丸暗記してるだけだったんですよね。しかもカードを作るのは自分。教材を読んで、要点を書き出して、入力する。覚える前に、その作業で体力を使い果たしてました。

次に試したのが「AIに直接頼む」です。教材のページを貼って「カードにして」と。作る時間は減ったんですが、出てきたのは教科書の丸写しカードでした。これ、まさに敵そのものなんですよね。理解ゼロで、文字だけ写したカード。それに、この「作る」工程とAnkiの「覚える」工程が完全に切れていて、繋ぐのがまた手作業、と。

詰まりの正体は2つでした。

  • ツールはどれも「覚える」しか見ていなくて、肝心の「理解してから覚える」を誰も繋いでくれない。
  • 工程と工程の間に、手作業のつなぎ目が残る。

ここが出発点です。

2. 変えたこと:Claude Codeで「理解→定着」を一本に繋いだ

だったら、「理解する工程」と「定着させる工程」を、自分で繋ぐしかない、と。そのつなぎ目ごと Claude Code で自動化しました。設計で決めたのは3点です。

  • 全部テキストで持つ — MarkdownとJSONで。人間も読めるし、AIも読める。
  • 疎結合にする — 各工程を独立させて、壊れたらそこだけ直せるように。
  • Claude Codeのスキルとして部品化する — 「教科書をOCRして」「カードを作って」の一言で手順が走るように覚えさせる。

動かす環境も、特別なものはいりません。Claude Code を VS Code の拡張として入れて、個人のサブスク1つ(Claude Pro/月22ドル)の範囲で全工程を回しています。上位プランは要らず、お金の面で詰まらなかったので、毎日続けられました。

全体を一枚の地図にすると、5つの層になります。

  • ① 取り込み(OCR) — 教材をテキストにする。
  • ② カード化 — それをAIで、理解の通ったカードに変える。
  • ③ 復習エンジン(本丸) — 間隔をあけて復習しながら、裏でAIにカードの中身を検証させる。
  • ④ 出力 — 同じカードを音声と紙にも出す。
  • ⑤ 記録 — 学習そのものを自作アプリで記録して、次にどこへ戻るかを決める。

この一本ぜんぶ、さっきの敵=丸暗記への攻め手です。どの工程がどう効くか、順に見ていきます。

3. 工程1 取り込み:教材を「理解できる素材」にする(OCR)

見開きスキャンした画像を左右に割って1ページずつにして、Claude Vision でテキストにします。スキルの名前は textbook-ocr。スキャンに使ってるのは書画スキャナーで、本を開いて上から撮るタイプ。見開きを一発で取り込めるので、取り込みの入口でつまずかなくなりました。

工程1で使っているスキャナー。本を開いて上から一発、見開きをまるごと一枚に取り込めるので、OCRの入口でつまずかなくなった。

ここが土台で、一番詰まったのが解像度問題でした。粗い画像をそのままかけると、AIが読めない所を「それっぽい文字」で埋めてしまう。しかもパッと見じゃ気づけない。丸暗記より怖いのは間違いを正しいと思って覚えることなので、ここは無視できなかった。対策は、一定の解像度を下回ったらタイル分割して読ませること。誤読は大幅に減りました。

まだ解決できていないこと:縦書きと傍点。 法律の教材は縦書きが多くて、ここはまだ精度が安定しません。OCR後の目視チェックは今も外せてないです。

出力は、ページごとのテキストと、論点が何ページにあるかの索引(INDEX)。この索引が、後のAI検証で効いてきます。

4. 工程2 カード化:丸暗記との主戦場

ここが、丸暗記と一番ぶつかる工程です。OCRテキストから「問い・答え・補足」の3層でカードを作る。最初のバージョンは「本文から要点を抽出して」だったんですが、これが丸写しになった。さっきの敵そのものですね。教科書の文をそのまま覚えても、試験で使える形にならないし、自分の頭にも入らない。

変えたのは、型を先に指定すること。「定義・趣旨・要件・あてはめの型で、自分の言葉で再構成して」という指示にしたら、格段にマシになりました。「自分の言葉で再構成」を強制すると、AIが一回“理解の通った形”に直してくれる。ここが、丸暗記を理解に変える一番の攻め手でした。型さえ変えれば、英語なら語・意味・例文、統計なら定理・証明・使いどころ、と科目を選ばない。

それと、最後は必ず自分で最小編集するルールは変えてないです。AIが作りっぱなしのカードをそのまま覚えると、結局また間違いごと覚えることになるので。

まだ詰めきれていないこと:一枚に詰め込みすぎ問題。 AIは情報を盛る方向に引っ張られるので、1枚に複数論点が入ってしまうことが今もある。そのたびに手で割ってます。

5. 工程3 復習エンジン:理解したものを「定着」させる

カードを回すのは review.py、自作のスクリプトです。土台は SM-2 という間隔反復の方式。人の記憶は覚えた直後から抜けていく(忘却曲線)。間隔をあけて、忘れかけた頃に思い出す。これを繰り返すと定着率が上がる。理解して入れたものを、ここで「残す」側ですね。

Ankiがやってることを、自分のパイプラインの中でまるごと再現した位置づけです。違いは2つ。状態を全部JSONで持ってるので他の工程と地続きで繋がること。それと、次に出てくる「AI検証つき復習」を足してること。採点は4段階で、次に出る間隔が変わります。

採点次に出る間隔
できない1日後に戻す(難易度の係数も下げる)
むずい前回の約1.2倍
できた間隔×難易度で伸ばす
余裕さらに大きく伸ばす

覚えたものは自然に間隔が開いて出てこなくなり、怪しいものだけ何度も出てくる。状態はカードごとのJSONに溜まるので、どれが定着していて、どれが地雷か、は全部追えます。

6. 工程3(続き)AI検証つき復習:覚えながら、内容を疑う

復習には2つのモードを用意してます。

  • ① そのまま復習 — 表を出して、答えて、採点して次へ。スキマ時間はこっち。
  • ② AI検証つき復習 — カードが出た瞬間に、裏でAIエージェントを1体起動する。わたしが答えを考えてる間に、そのカードの中身が本当に正しいかを独立に検証させる。

検証エージェントは3点でクロスチェックします。

  • 自分のOCRテキストと索引を確認する。
  • ネットで言い回し・出典を検索する。
  • 定評ある資料と突き合わせる。

返ってくるのは「致命的な誤り」「補強したい点」「直すならこう」の形。答え合わせのタイミングで一緒に出るので、待ち時間ゼロです。

それと、答え合わせで引っかかった時は、その場で Claude Code に「なんでこうなるのか」を聞き直せます。カードを思い出すだけの受け身の復習じゃなく、わからない所をその場で潰す——復習のたびにアクティブラーニングができる、ということですね。理屈が通らないと頭に入らないタイプなので、これがあるかないかで、続くかどうかが変わりました。

正直なところ:AIの検証も万能じゃないです。 あくまで「あやしい所に気づく第二の目」で、最終判断は自分。AIに全丸投げで回したら、間違いが検証をすり抜けて、そのまま覚えたことがあって。それから「AI検証+自分の最終確認」のセットに戻しました。

7. 工程4 出力:同じカードをAnki・音声・紙にも展開

メインの復習は自作エンジンですが、同じカードを Anki・音声・紙にも展開してます。

  • Anki — スマホで手早く回したい時用。間隔反復の本体は review.py で、Ankiは持ち運ぶ器として使ってます。
  • 音声 — カードのMarkdownを読み上げてMP3に変換する専用スキル。ながら復習用です。法律用語の誤読(「甲」を「きのえ」と読む等)は、読み替え辞書を自分で持っていて、読み上げ前に直してます。
  • md-print-pdf という専用スキルで、A4・2段組・黒文字だけのPDFを一発で作れます。それをモノクロレーザーで両面印刷。綴じ代を左に広めに取って、穴を開けても文字が欠けないようにしてます。

「全部テキストで持つ」設計の効き所で、カード1枚が勝手に3形式に増えます。

工程4で使っているプリンター。トナーを熱で定着させるレーザー方式なので、印字直後に蛍光ペンを引いても滲まない。自動両面で紙の量も半分。画面に疲れた日は紙で回す。

8. 工程5 記録:どの科目に戻るかを、感覚でなく色で決める

自作の学習記録アプリで、科目ごとの時間ログを取ってます。「どのカードが定着してるか」はJSONが見ていて、「どの科目に時間を割くべきか」はこのアプリが見てる。ミクロ(カード単位)とマクロ(科目単位)を分けて可視化してる形です。

忘却曲線ベースの「そろそろやばい科目」表示(緑・黄・赤)があって、今日どこに戻るかを、感覚じゃなく色で決められます。

9. 変わったこと・変わっていないこと

で、一番変わったのは、数字じゃなくて感覚なんですよね。前は、丸暗記しようとして続かなかった。意味のわからないカードを反復するのが苦痛で、すぐ離脱してた。今は、カードがもう「理解の通った形」で出てくるので、覚えてるというよりわかってる状態を確認してる感じになった。覚えてる感覚は薄いのに、定着はしてる。「理解してから入れる」に変わった、というのが、自分にとっては一番大きい。

作る手間も、教材を流し込んで最小編集するだけになったので、準備で体力を使い果たすことは無くなりました。

逆に、変わっていないことも、正直に三つあって。OCRは縦書きでまだ転ぶし、AIカードの密度調整は今も手が入り続けてる。音声の誤読辞書も、足し続けてます。完成形じゃなくて、今も毎週どこかを直してる状態です。

10. まとめ:持ち帰りと、型の配布

じゃあ、まとめます。仕組みは、5つの層に整理できました。敵は「意味のわからない丸暗記」。Ankiの手動カードも、AI直貼りも、どこかで丸暗記か、手作業のつなぎ目が残ってた。それを Claude Code で「理解→定着」の一本に繋いで、今は毎日回せてます——縦書きと密度の問題は残ってますが。

効いたのは「全部AIに覚えさせる」ではなかった

作るのと、わかる形に直すのはAIに手伝わせる。覚え続けるのは仕組みに任せる。最後の判断だけ自分が握る——この分担が効いた。

たぶん、丸暗記が無理なタイプの人ほど、この「理解する工程と、定着させる工程を、別々に設計する」のは効くと思います。自分がまさにそれで続かなかったので。

今回使ったスキルとプロンプトの型は、自分の教材でそのまま差し替えて使える形にして、noteに置いておきます。N=1の人柱の記録として。

コメント